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袋詰脱水処理工法

●袋詰脱水処理工法とは

 透水性を持つジオテキスタイル製袋に高含水比の土壌や底質を充填し、土粒子の流れ出しを防止しながら脱水を促進し、袋の張力を利用して盛土や埋土に積み重ねて有効利用する工法です。また、袋の持つろ過機能によって、土壌に強く吸着している環境汚染物質を袋内に封じ込めることが出来ます。

●工法の適用

ジオテキスタイル製袋の補強効果を利用して、下記のような適用用途が考えられています。

●工法の特徴

1.施工の省力化が可能

大型の建設機械が不要です。
軟弱地盤上の作業が可能です。

2.あらゆる建設発生土が利用可能

流動性を呈する軟弱土に威力を発揮します。

3.軟弱な土を利用した盛土体の構築が可能

ジオテキスタイルの補強効果により、軟弱な土を詰めた袋体の積重ねが可能です。

4.袋体の大きさは任意に設定可能

自重圧蜜時間は袋の大きさで調節できます。
大型構造物として適用する場合も、袋どうしの連結により効率的な施工が可能です。

5.きれいな排出水

袋からの排出水の懸濁物質密度(SS)は、短時間で非常に小さいものになります。

6.環境汚染物質の封じ込め

窒素、リン、重金属等のうち土壌に強く吸着している環境汚染物質を土粒子や懸濁物質とともに袋内に封じ込めます。

7.植生可能

良好な植生が得られます。

●施工方法

 対象土が、高含水比でハンドリングが困難な場合はポンプ圧送による充填ができます。
 また、含水比の低い粘性土や砂質土の場合は、ショートやホッパなどを併用して、パワーショベル等の掘削・積込み機械で袋内に充填します。
 ポンプ圧送による充填では、注入中の流量と袋中央部の高さ測定を行い、袋の周長に応じた管理値に達成した時点で充填を終了します。またポンプ圧送の場合、脱水に伴う減容化に応じて再充填が繰り返し可能です。

●実績

 袋詰脱水処理工法は、これまでに11現場において約28,000m3の建設発生土に利用されています。主な用途としては、ダム堆砂を利用したのり面復旧や多自然型護岸の造成などです。

■事例紹介

1.ダム浚渫土砂の押さえ盛土としての有効利用事例

 水力発電用ダムの排砂管前面に堆積した土砂約4,500m3に袋詰脱水処理工法を適用し、堆砂の流出防止を目的として打設した鋼矢板の押さえ盛土として有効利用しました。現場は狭隘な山間部であり、ダム湖岸に施工ヤードが十分に確保できないことから、専用の台船上にてジオテキスタイル製の大型袋に充填する作業を行いました。

施工概要図

施工中の状況

2.溜池底質の盛土としての有効利用事例

 溜池の底質840m3に袋詰脱水処理工法を適用し、上流掘削箇所ののり尻部盛土材料として有効利用しました。小型袋を利用することにより、脱水後少し離れた場所へ運搬し有効利用を図ることができました。

施工概要図

施工中の状況

●積算関係

積算資料として
「袋詰脱水処理工法標準積算資料(案)」
(平成10年3月 混合補強土技術検討委員会袋詰脱水処理グループ)が作成されています。

参考文献等

■発生土利用促進のための改良工法マニュアル
(監修 建設省大臣官房技術調査室 平成9年12月 財団法人土木研究センター)

■混合補強土の技術開発に関する共同研究報告書 −袋詰脱水処理工法利用マニュアル−
(平成9年3月 建設省土木研究所材料施工部土質研究室他、共同研究報告書 整理番号第169号)

■袋詰脱水処理工法による高含水比ダイオキシン類汚染底質・土壌封じ込めマニュアル(案)
土木研究所資料第3902号 平成15年7月

■NETIS(新技術活用促進システム)ホームページ
http://www.kangi.ktr.mlit.go.jp/kangi/index.html
【技術名称】袋詰脱水処理工法 【登録番号】KT-020065

※袋詰脱水処理工法は特許工法です。特許の使用にあたっては、特許使用料をお支払いいただいています。


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