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気泡混合土工法

●気泡混合土工法とは

 土に水とセメント等の固化材を混合して流動化させたものに気泡を混合して軽量化した気泡混合土を用いた工法です。通常の土に比べて地盤などに与える荷重を軽減することができるとともに、流動性があるのでポンプ圧送による流し込み施工を行うことができ施工が容易です。さらに泥土などの低品質な土をリサイクルすることができます。

気泡混合土の製造

気泡発生状況

気泡混合土の断面

●工法の適用

 気泡混合土は通常の土に比較して軽量であり流動性がよいことから、山岳地や軟弱地盤上での盛土、橋台・擁壁の裏込め、構造物の埋戻し等の広範囲に適用可能です。

軽量性および流動性を利用した拡幅盛土

軽量性および流動性を利用した基礎下埋戻し工

軽量性を利用した橋台背面埋戻し工

●工法の特徴

1.軽量性・強度

湿潤密度を6.0〜12.0kN/m3の範囲で任意に設定できます。
また、固化剤の配合を調整することにより一軸圧縮強さを1,000kN/m2程度までの範囲で任意に設定できます。

2.流動性

固まらない状態では、高い流動性を持ち、狭く複雑な形状の空間への充填が容易にできます。

3.施工性

ポンプ圧送が可能で、転圧・締固めが不要なので施工の省力化が図れます。

4.発生土の有効利用

各種の発生土を有効に利用することができます。

●施工方法

 気泡混合土は、土に水を加えた調整土に、セメント等の固化剤を混合して流動化させ、さらに気泡を混合して製造します。製造された気泡混合土は、ポンプにより圧送して打設します。

施工方法

●実績

 気泡混合土は、これまでに6現場において計約19,000m3用いられました。主な用途としては、橋台の裏込め、橋脚、下水道管の埋戻しがあります。

■事例紹介

1.橋台の裏込めへの適用事例

 道路拡幅に伴う新設橋台の裏込めにおける土圧を低減するため、気泡混合土工法を採用しました。気泡混合土は、密度10kN/m3、一軸圧縮強さ300kN/m2となるように配合し、計2,533m3を用いました。
 施工後の状況は写真のとおりです。
 施工場所は、河川水位以下であったので、鋼矢板による締切りや掘削工とともに、浮き上がり防止のための気泡混合土の高精度な密度管理が要求されました。また、道路路床として適用したため、強度のバラツキについても留意が必要でした。このような条件下においても、気泡混合土工法は転圧が不要であり、かつ狭隘部分への充填が可能であったため、施工が大幅に省力化されました。

施工概要図

施工後の状況

2.下水道管渠の埋戻しへの適用事例

 下水道管渠敷設箇所に民家が隣接しており、盛土荷重の連れ込み沈下による周辺への影響防止のため、気泡混合土工法を採用しました。
 気泡混合土は、密度7.2kN/m3、一軸圧縮強さ300kN/m2となるように配合し、計1,432m3を用いました。
 施工後の状況は、写真のとおりです。
 現地は地下水位以下であり、浮き上がりに対して所定の安全率を確保できないため、浮き上がり防止杭を使用しました。前述の施工事例と同様に、気泡混合土工法は、転圧不要であり、かつ狭隘部分への充填が可能であったため、施工が大幅に省力化されました。

施工概要図

施工後の状況

●積算関係

積算資料として
「HGS気泡混合土工法積算資料」
(平成16年3月 ハイグレードソイル研究コンソーシアム気泡混合土部会)が作成されています。

参考文献等

■発生土利用促進のための改良工法マニュアル
(監修 建設省大臣官房技術調査室 平成9年12月 財団法人土木研究センター)

■混合補強土の技術開発に関する共同研究報告書 −気泡混合土工法利用技術マニュアル−
(平成9年3月 建設省土木研究所材料施工部土質研究室他、共同研究報告書 整理番号第170号)

■NETIS(新技術活用促進システム)ホームページ
http://www.kangi.ktr.mlit.go.jp/kangi/index.html
【技術名称】気泡混合補強土工法 【登録番号】KT-980397

※気泡混合土工法は特許工法です。特許の使用にあたっては、特許使用料をお支払いいただいています。


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