【論 説】 雪国にて想うこと
武士俊也
【報 文】 衛星画像から見た2001年桃芝台風による台湾中部山岳地帯の土砂移動現象発生状況
山越隆雄・渡 正昭
<抄録> 衛星画像の目視判読によって、2001年7月の桃芝台風に伴う豪雨により台湾中部山岳地帯で発生した土砂移動現象の発生状況を調査した。その結果、桃芝台風によって土砂移動現象の発生が著しいと判断された範囲が、降雨の集中域と符合していた。衛星画像の目視判読によって、土砂移動現象の発生が相対的に著しい範囲を抽出することができたと考えられる。また、1996年の賀伯台風に比べて降雨が少なかったにしては土砂移動現象の発生状況が著しく、1999年に台湾中部で発生した集集地震の影響が示唆された。
<キーワード> 桃芝台風、集集地震、賀伯台風、台湾、土砂移動現象、衛星画像
【報 文】 3Dレーザースキャナの地すべり計測への適用性
淺野広樹・石井靖雄・網木亮介・小山内信智
<抄録> 地すべりの移動量計測、滑動状況の面的な把握が可能な3Dスキャナの地すべり計測への適用性を明らかにするため、地すべり移動量計測時に生じる誤差とその原因について検討を行った。その結果、レーザーの照射方向に対して比較的平担な地形を呈している場所では誤計測となり、大きな計測誤差を生じやすいこと、計測誤差は、一部を除いて、計測距離に応してレーザーの拡幅により生じる理論上の誤差の範囲内にあったこと等が明らかとなった。
<キーワード> 地すベリ、三次元地形計測、地表変動観測、地すべり観測
【報 文】 透水係数が浸透流解析による残留間隙水圧推定に及ぼす影響
石井靖雄・網木亮介・小山内信智
<抄録> 貯水池周辺地すべりにおける対策工合理化を目的とし、浸透流解析を用いて残留間隙水圧を推定する手法を検討するため、貯水池周辺の地すべり地において得られた現場透水試験値と浸透流解析により求めた透水係数の逆算値を比較し、現場透水試験値の浸透流解析への適用性について検討を行った。その結果、単孔式現場透水試験値と浸透流解析による逆算値では地すべり土塊の透水係数が概ね1〜2オーダー程度異なることが明らかとなった。
<キーワード> 地すべり、貯水池、地下水、浸透流解析、透水係数
【報 文】連続するスリット砂防堰堤の土砂調節効果に与える降雨波形の影響
水野秀明・寺田秀樹
<抄録> 本研究では連続するスリット砂防堰堤の土砂調節効果を流出解析と河床変動計算から推定する場合において、降雨波形の違いがその推定値に与える影響を検討した。その結果、最大時間雨量の生起時刻が降雨波形の後半にあるほど、洪水期間中の最大推積量と最終推積量は少なくなるという傾向等が見られた。
<キーワード> 連続するスリット砂防堰堤、土砂調節効果、流出解析、河床変動計算、降雨波形
【報 文】 せん断変形量に基づく地中構造物横断方向の耐震計算法
西岡 勉・運上茂樹
<抄録> 地中構造物横断面の地震時の変形は、構造全体としてせん断変形が卓越する。本研究は、構造物深度の自然地盤のせん断ひずみに対する構造物全体を短形要素とみなしたときのせん断ひずみの比、ひずみ伝達率の特性を明らかにした。得られたひずみ伝達特性をもとに、せん断変形量に基づく地中構造物横断方向の耐震計算法を提案した。
<キーワード> 地中構造物、横断方向、せん断変形重、ひずみ伝達特性、耐震計算法
【報 文】 外部コストを考慮した都市トンネル建設工法の評価
石村利明・真下英人
<抄録> 都市トンネルの建設工法(NATM、シールド工法、開削工法)の選定において、周辺環境に与える様々な影響を「外部コスト」として考慮した場合の各工法の総コストの検討を行った。その結果、都市トンネル施工に伴う外部コストは地上部の交通規制に伴う渋滞が最も影響が大きい。土被りが浅い場合は工事費では開削工法が最も経済的であるが、外部コストを考慮するとトンネル延長、土被りに関係なくNATMが最も安いことが分かった。
<キーワード> 都市トンネル、外部不経済、外部コスト
【報 文】 都市廃熱を利用した道路消融雪技術の研究
平下浩史・土屋慶恭・吉田 正
<抄録> 道路融雪設備はコストが高く、必要な区域に整備できていない。そこで、環境負荷及び維持管理コスト低減の観点から都市廃熱を利用した消融雪設備の開発を進めている。さらに、時間帯で熱量が変動する都市廃熱の安定化と総コストの低減の観点から蓄熱技術の適用と、具体化のための要素技術として蓄熱槽建設技術と熱運用技術を考察する。
<キーワード> 未利用エネルギー、都市廃熱、下水熱、融雪設備、蓄熱槽
【報 文】 ダム基礎グラウチングに用いるグラウトの流動特性に関する実験的検討
安田裕―・佐藤弘行・佐々木隆・山口嘉一
<抄録> 本報文では、二次元細管網模型に対して増粘剤水溶液を疑似グラウトとして注入し、濃度及び注入圧力がグラウトの流動特性に及ほす影響について実験的検討を行った。その結果、流れが乱流になりやすい薄い配合より、流れが層流に近づく濃い配合の方が、単位時間あたりのセメント注入量が多くなる結果となった。
<キーワード> 地中構造物、横断方向、せん断変形量、ひずみ伝達特性、耐震計算法