(一財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成20年

平成20年4月 報文抄録

【特集報文】公共工事の調達における企業評価のあり方

溝口宏樹・堤 達也・山口行一・毛利淳二

<抄録> 透明性・競争性の高い調達制度を前提に、一般競争下において良い仕事をした企業が受注機会を拡大する等報われるように企業の実績や努力が受注者選定に適切に反映される仕組み(良い循環)を構築するため、国土交通省直轄工事において2年に1回の頻度で行っている定期の競争参加資格審査の改善の方向性を提案した。

<キーワード> 公共調達、企業評価、競争参加資格審査

【特集報文】公共工事における総合評価方式のさらなる改善に向けて
〜実施状況の分析とより適切な運用に向けての考え方〜

溝口宏樹・堤 達也・毛利淳二

<抄録> 近年大幅に適用を拡大している国土交通省の公共工事における総合評価方式の実施状況について、平成18年度のデータを中心に全体的な視点から分析した。また、これまでの実施状況を踏まえ、総合評価方式をより適切に運用していくための主な検討課題と、今後の適用の考え方を提示した。

<キーワード> 総合評価方式、公共工事、入札・契約、技術提案、品質確保

【特集報文】調査・設計業務の品質確保方策 〜総合評価方式による入札の導入〜

重高浩一・溝口宏樹・毛利淳二

<抄録> 調査・設計業務の発注にあたって、試行的な導入が進んでいる総合評価方式による入札結果を用いた分析を行った。その結果、より技術力を重視する必要がある場合、すなわち高い知識又は構想力・応用力を評価することで質の高い成果が得られる可能性がより高い場合は、価格点と技術点との比率を1:2あるいは1:3とすることが望ましいことを明らかにした。

<キーワード> 調査・設計業務、品質確保、総合評価方式、加算方式、価格点と技術点との比率

【特集報文】 施工プロセスを通じた検査への転換

山室 久・佐近裕之・相沢 興

<抄録> 建設業界を取り巻く環境が大きく変化し、施工不良や設計ミス等による工事等の品質低下が懸念されるなか、受発注者がそれぞれの責任を適切に担うことにより、効率的かつ効果的に工事の品質確保を図る新たな検査体制を構築するため、国土交通省において試行を始めた「施工プロセスを通じた検査」について報告するものである。

<キーワード> 工事品質、監督・検査、施工プロセス

【特集報文】工事成績の評価と活用

中村義人・佐近裕之・相沢 興・山室 久

<抄録> 建設生産システムの抜本的な見直しが検討されているなか、企業が自ら品質確保に努めるインセンティブや企業の技術力等を重視した調達において工事成績は重要な役割を担っている。国土交通省における現行の工事成績評定結果の分析や、今後の工事成績の評価と活用について報告するものである。

<キーワード> 工事成績評定、品質確保、企業評価、資格審査、入札・契約

【特集報文】 平成19年新潟県中越沖地震における地元建設関連企業の貢献

溝口宏樹・堤 達也・毛利淳二・矢田 弘・田中良彰

<抄録> 新潟県中越沖地震において、建設関連企業による支援活動の実態を調査した結果、「人材の派遣」、「建設機械の提供」などの支援や、迅速な初動対応等が行われており、これら企業の果たした役割、特に被災県内に本社・本店がある地元建設関連企業の貢献が大きかったことが明らかになった。

<キーワード> 災害復旧活動、初動対応、地元建設関連企業、地域貢献、地域貢献の評価

【報文】那珂川における魚類群集の多様性を支える物理環境と流域特性の関係

竹下邦明・傳田正利・村岡敬子・天野邦彦

<抄録> 河川において魚類群集の多様性を保全するためには、水域の物理環境が多様に存在することが重要である。本研究では魚類群集の多様性、水域の物理環境、流域特性の関係性を解析した結果、魚類群集の多様性を保全するためには、当該水域が属する流域特性を把握した上で水域の物理環境を保全・整備することが重要と考えられた。

<キーワード> 魚類群集の多様性、水域の物理環境、流域特性、水域の連続性

【報文】3次元FEM解析による地すべり抑止杭工の設計方法

田中 尚・藤澤和範・藤平 大・石井靖雄

<抄録> 3次元FEM解析を用いた地すべり抑止杭工の設計方法を検討した。3次元FEM解析を用いることで、杭1本毎の応力度を照査でき、負担力を考慮して杭諸元の低減を図ることができる。その結果、本検討の条件において既往の設計手法に対して4割強のコスト削減を見込めた。

<キーワード> 地すべり、杭工、有限要素法、設計

【土研センター】バンコクにおける道路試験盛土への気泡混合土の適用

土橋聖賢・大久保泰宏・平野孝行

<抄録> 気泡混合土は、現地盤表層の掘削土に、水、セメントおよび気泡を混合して作製する軽量土で、地盤への負荷を低減するとともに、外部からの盛土材の搬入を極力、抑えて盛土を造ることが可能な工法である。平成16年〜18年度に共同研究の一環としてタイ・バンコクで現地発生土を用いて実施した気泡混合土の試験盛土の結果と、その成果を道路盛土に適用した事例を紹介した。

<キーワード> 気泡混合土、道路盛土、事例紹介