(一財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成23年

平成23年7月 報文抄録
 

【報文】下水道露出配管の耐候性

橋本 翼・深谷 渉・横田敏宏

<抄録> 国土交通省が主導する下水道クイックプロジェクトにおいて提案されているクイック配管(露出配管)について、管材の耐候性を把握することを目的に実施した露出管の物性試験、紫外線・冷熱衝撃の促進試験、紫外線照射表面・断面の顕微鏡観察、分子量分析の結果を報告する。

<キーワード> 露出配管、耐候性、物性試験、促進試験、顕微鏡観察、分子量分析

 

【報文】 車載型計測装置による建設機械の排出ガス計測方法の検討

杉谷康弘・藤野健一・石松 豊

<抄録> 車載型排出ガス計測装置を使用して、実際の稼働状態における油圧ショベルの排出ガスを計測する方法について検証を行った。その結果、油圧ショベルの動きを制限することなく、排出ガスの計測が可能であることを確認したので、試験の内容や試験中に発生した問題点等について紹介する。

<キーワード> 建設機械、排出ガス、車載型排出ガス計測装置

 

 

【報文】 道路トンネル内の自然風および交通換気力の予測

森本 智・石村利明・角湯克典

<抄録> 道路トンネルの換気設備の運用において、交通換気力と自然風を考慮した制御を行うことでより効率化できる可能性がある。本稿では、供用中の道路トンネルを用いた実態調査を行い、坑口間差圧から生じる自然換気力、および交通量等による交通換気力を適切に予測し、それらを足し合わせることでトンネル内風速を予測できる可能性があることがわかった。

<キーワード> 道路トンネル、換気施設制御、実態調査、自然風、交通換気力

 

 

【報文】 河道閉塞(天然ダム)及び火山の噴火を原因とする土石流による被害範囲を速やかに推定する手法

内田太郎・山越隆雄・清水武志・吉野弘祐・木佐洋志・石塚忠範

<抄録> 本報告では、「土砂災害防止法に基づく緊急調査実施の手引き(河道閉塞による土砂災害対策編)及び同(噴火による降灰等の堆積後の降水を発生原因とする土石流対策編)に示されている調査・解析のうち、天然ダムを原因とする土石流および火山の噴火を原因とする土石流による被害のおよぶ区域の推定に関する初動期の調査・解析方法を紹介する。

<キーワード> 土石流、河道閉塞(天然ダム)、火山噴火、緊急調査

 

 

【報文】 2010年7月鹿児島県船石川土石流災害の流下実態

水野秀明・小山内信智

<抄録> 鹿児島県にある船石川では深層崩壊に起因する土石流が2007年7月と2010年7月に続いて発生した。2007年7月の土石流は流路工内で土砂や石礫を堆積しながら流れたが、2010年7月の土石流は流路工内で堆積することなく流れた。本報告では、この相違点を降水量や土砂の粒度分布などから推測した結果を報告する。

<キーワード> 船石川、シラス、土石流、粒度分布

 

 

報文首都直下地震の震災マクロ経済モデルの構築と経済復興シナリオの試算

片岡正次郎・本多弘明・高宮 進

<抄録> 巨大災害の発生がマクロ経済に与えるインパクトを定量的に評価し、円滑な財源の確保や効率的な災害復興投資のあり方を検討するため、東京湾北部地震(M7.3)が発生した場合のマクロ経済の変動をシミュレーションすることができる震災マクロ経済モデルを構築し、この地震がマクロ経済に与える影響と経済復興シナリオを試算した。

<キーワード> 首都直下地震、マクロ経済、復興投資

 

 

【報文】 河川堤防の盤膨れ・揚圧力対策に関する模型実験

増山博之・齋藤由紀子・森 啓年・佐々木哲也

<抄録> 河川堤防の川裏側に、排水機能付き遮水矢板や縦方向の砕石層(透水トレンチ)を設置し、揚圧力を解放する技術の適用性について、中型模型実験を行った。堤防高さ約1.3mの模型実験の結果、のり尻部の揚圧力は無対策と比較して排水機能付き矢板で7割以上、透水トレンチで6割以上低減した。この結果、川裏側での盤膨れ対策の有効性を実験により確認することができた。

<キーワード> 河川堤防、盤膨れ、揚圧力、浸透流、排水機能付き矢板、透水トレンチ

 

 

【現地レポート】 堺市三宝下水処理場移設改築工事
―最先端技術の導入と工程短縮―

角 羊一朗

<抄録> 堺市三宝下水処理場で施工中の阪神高速大和川線建設工事の施工に伴う下水処理施設の移転改築工事の概要および今回の施工における高度処理施設、膜分離活性汚泥法の導入、大規模ポンプ場の建設工事におけるコスト縮減と工期短縮についての取組み状況。

<キーワード> 高度処理、膜分離活性汚泥法、ニューマチックケーソン工法