図−1は、非線形回転バネモデルと非線形はり要素のモデル化のイメージを示したものです。
非線形回転バネでモデル化する場合は、塑性ヒンジ区間Lpにおいて高さ方向の曲率は一定になるものと仮定します。ここで、塑性ヒンジ長Lpは、通常、地震時保有水平耐力法で用いられる方法と同様の長さが用いられます。このようにすると、塑性ヒンジ区間が塑性化した状態での非線形回転バネの回転角θと曲率φとの関係は、(1)式のようになります。
θ=φ・Lp=(φp+φy)Lp (1)
ここで、φyは降伏曲率、φpは塑性曲率です。
一方、非線形はり要素でモデル化する場合は、区分したはり要素毎に作用曲げモ−メントと曲率が求められます。この場合には、塑性ヒンジ区間という一定の長さの仮定は設けていませんので、力の釣合いに基づいて、要素毎にそれぞれ塑性化する範囲が求められることになり、一般にLpとは完全には一致しなくなります。
したがって、非線形回転バネモデルと非線形はり要素モデルの基本的な相違は、塑性ヒンジ区間を設定して、その区間内で一定の曲率となるように仮定するかどうかという点と考えることができます。一般的な橋脚モデルのような場合には、基部で曲げモーメントが大きくなる三角形の曲げモーメント分布となりますので、両モデルは同等の結果を与えるようになります。
なお、断面特性や作用曲げモ−メントによっては、両モデルにより求められる塑性ヒンジ長が異なってくることがありますので、この場合には、両モデルは同等ではなくなってくる場合も生じ得ることに注意してください。
通常、一般的な橋脚の場合には、塑性ヒンジ区間が明確であるため、非線形回転バネモデルを、塑性ヒンジ区間を確定することが困難な場合には非線形はり要素モデルを用いることが多いと思われます。 |