ご質問 |
回答 |
1 |
油は有害物質とはいえないという説明があったかように聞こえましたが
そうなのですか? |
”油”は一章のパワーポイントでは汚染物質の一つとして紹介しておりますし、マニュアル本文の第2章冒頭において「本マニュアルにおける有害物質とは、特定有害物質及び有害物質として、ダイオキシン、油類等とする」と定義されています。一方、油の成分としてよく含まれるベンゼンは特定有害物質の一つです。
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2 |
本文図-1.1のフローでは,「東京都条例では白だったとしても残土分析で黒となった場合には協議せよ」という読み取れますが,協議が必要という意味でしょうか? |
本マニュアルは、建設工事において汚染土を処理する場合の基本的考え方を述べたもので、随時関係部局と「相談・確認しながら進めることが事業遂行上のぞましい」と意味で”協議”という言葉を使っています。実際には地方自治体それぞれの実態に合わせて、相談しながら進めることが肝要だと考えています。 |
3 |
形質変更とはなんですか? |
土地の形状を変更する行為一般のことで、土地の掘削、盛土等のことです。 |
4 |
「建設工事に置ける自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)」はどこで手に入りますか? |
下記からダウンロードしていください。公開されています。
<http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/recyclehou/manual/> |
5 |
既存構造物を解体して、破砕したコンクリートを再生盛土材として利用する場合の問題点は?法的に認められますか? |
「建設廃棄物処理指針」(環境省通知)をご確認ください。 |
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コンクリート破砕片が混入した土壌は、どこまで土と認められるか「建設工事で遭遇する廃棄物混じり土対応マニュアル」を読んだがわからなかった。 |
コンクリート破砕片が混入した土に対する廃棄物処理法の運用は自治体によって異なりますので、利用用途と処理の考え方を示して自治体と相談して下さい。 |
7 |
ボーリング調査深度の5mの記述があった。法とは異なるが独自の提言か? |
法は原則10mです。P40図4-10の下記説明文について第二種および第三種特定有害物質「:GL-0.5m、1.0m、2.0m・・・5.0m」の記述を「:GL-0.5m、1.0m、2.0m・・・10.0m」と修正します。 |
8 |
3,000㎡以下の民間工事はどうなっているのでしょうか? |
法第4条の対象となりません。事業者が必要に応じて自主調査を実施しています。なお、法第3条や法第5条の対象となった場合は工事有無に関係なく、法に基づく調査の対象となります。 |
9 |
p12 表2-1の数値の求め方を丁寧に説明して欲しい。 |
個々の項目の詳細については以下の資料を参考にしてください。
環境省資料:
「環境基準項目等の設定根拠等」 http://www.env.go.jp/council/toshin/t090-h1510/02.pdf
「WHO飲料水質ガイドライン 第2版及び第3版」
「土壌の直接摂取によるリスク評価等について」土壌含有量リスク評価検討会、平成13年8月、環境省、http://www.env.go.jp/water/report/h13-01/index.html |
10 |
基準値が癌になるリスクが10万分の1上昇する値という説明であったが、それ以上の増加に対してどのように癌が増加するのか。 |
上記を参考にしてください。なお、砒素のように発癌リスクを考慮するとさらに基準を下げなければならないような項目、ふっ素のように斑状歯発生予防という発癌以外の観点から定められている項目もあり個々の項目で違う場合があることに注意してください。 |
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迅速分析は公定法として扱われないのであれば二度手間、コストアップになる。メリットは何か。 |
メリットとして活用できる考え方は本マニュアルのP43に示したとおりです。
なお、「土壌汚染対策法に基づく調査および措置に関するガイドライン」でも簡易分析を活用する例が示されています。(例えば改訂2版ガイドラインP315の7行目など) |
12 |
資料等調査の説明で地下水利用条件も把握するとあったが、法においては健康被害が生じるおそれの基準における地下水摂取リスクに係る調査とは異なるのか? |
法で規定されている調査は、人の健康被害把握(というよりむしろ指定するための)のための調査に限定されています。建設工事を進める場合、健康リスクの把握だけではなく、農業や漁業など健康リスク以外への影響や、汚染対策のために汚染プリュームの状況を把握することなどが必要となることがあり、法で規定される内容以上の調査が必要となる場合があるのでご留意ください。 |
13 |
14条申請は工期に余裕のないときの方法と捉えられるがそういう認識でよいか?(調査費用をかけたくない) |
そのような考え方で活用できるケースもありますが、そのほかにも活用のケースはあるのでその点についてもご留意ください。なお詳しくは環境省の手引きを参照してください。
「土壌汚染対策法の自主申請活用の手引き」http://www.env.go.jp/water/dojo/gl_app/tebiki.pdf |
14 |
p35 調査命令の出される範囲は掘削範囲全体ではないか?
なぜなら、調査命令は物質を特定して出されるのであって、範囲を決めるのは調査命令後の地歴調査を終えた時点であるから。 |
「土壌汚染対策法に基づく調査および措置に関するガイドライン」にも示されているとおり、掘削範囲のうち、土壌汚染のおそれがある部分だけです。
法の制定時の趣旨では、本来監督自治体が所持している資料で調査命令が発出されるのが趣旨です。しかし監督行政の指導実態は調査命令が出た後で地歴調査により汚染物質の追加や土壌汚染状況調査の範囲の拡大が行われています。なお、命令以降の地歴調査の結果でも汚染状況調査を実施する範囲には、汚染のおそれのない掘削部分は含まれません。 |
15 |
建設する構造物によって法律に基づく土壌の分析頻度は決まっているのか |
そのような決まりは示されていません。 |
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形質変更時要届出区域(以下区域)の土壌を掘削するのは法第12条の届けが必要か? |
必要です。 |
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形質変更時要届出区域から汚染土壌を搬出するのは法第16条届けが必要か? |
必要です。 |
18 |
盛土構造物へ汚染土を入れる。盛土構造物を洗浄等施設として登録が必要か? |
法第14条申請により指定を受ける場合と、汚染土壌処理施設、埋立処理施設として申請するケースが考えられます。 |
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盛土構造物の設置場所は汚染されるおそれがある。法第14条申請が必要か? |
法第14条は自主的な申請制度です。指導されることはあっても、必要性について命令を受けることはありません。 |
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複数工区がある場合、形質変更の3,000㎡はどのように解釈されるか? |
工区毎に届出とすることが原則ですが、詳細については環境省のQ&Aを参照してください。なお監督自治体によって指導内容が違う場合もあります。
「改正土壌汚染対策法に関するQ&A」
http://www.env.go.jp/water/dojo/law_qanda/kaisei_qanda.pdf |
21 |
第一種特定有害物質は、第二溶出量基準を上回る場合、掘削除去を基本としてるが、米国で行われているような揮発する汚染物質からリスク評価をする手法に今後変わっていくのでしょうか? |
「土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)」では、汚染の除去等の措置の考え方として、「掘削除去は、汚染の拡散リスクを防止する観点から、できるかぎり抑制的に取り扱うこととしたことろである。」とあります。今後の措置の実績や社会状況によって変化していくものと考えられますが、今後どうなるかについての定説はないと思われます。 |
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予測解析での溶出濃度設定のための溶出試験はどのような試験がありますか? |
本マニュアルでは、標準予測方法および詳細予測方法では土壌溶出量試験を標準としています。この他に汚染物質や水溶性成分の発生挙動を把握する手法としてカラム試験を資料-6に示しています。また、「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)」では溶出試験として、短期溶出試験、酸化可能性試験および実現象再現溶出試験等が示されおり、特に詳細予測方法では汚染源の状況を考慮して試験結果を評価する必要があります。 |
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遮水シートの透水係数設定に関する文献はありますか? |
遮水シート自体の透水性は非常に小さいが、施工方法や接合方法よって透水性が変化したり、遮水シートが損傷を受けた場合に遮水性が低下すると言われています。
透水係数の設定例としては以下1)の文献がありますが、適用に当たっては上記の観点について注意が必要です。 また、遮水シートの損傷を等価換算透水係数として評価している例としては以下の文献2)があります。
1)財団法人港湾空間高度化センター
港湾・海域環境研究所(2000):管理型廃棄物埋立護岸 設計・施工・管理マニュアル、pp.76-77.
2)嘉門雅史、乾徹、遠藤和人、伊藤圭二郎、勝見武(2001):遮水シートの損傷を考慮した廃棄物処分場遮水工の性能評価、第4回環境地盤工学シンポジウム、pp.273-278. |
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本文図6-15(3)には難透水層までモニタリング井戸が描かれてるが、難透水層の水質を測定するのか? |
水質モニタリングは地上部の遮水層と地下部の遮水壁の遮水構造が機能しているかを確認することが目的ですので、その上部の透水層での採水・水質測定となります。 |
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本文図6-17の杭施工による汚染拡散概念図はイメージだけではなく、現実的な模式図の方がわかりやすい。 |
ここでは杭施工における汚染拡散の可能性を概念的に示し、留意を促す、という目的で概念図を入れました。「土壌汚染対策法における調査及び措置に関するガイドライン」には、下記サイトのappendix12に、浅位にある汚染の下位への拡散防止対策について記述しておりますので、ご参考ください。
<http://www.env.go.jp/water/dojo/gl_ex-me/pdf/11_appendix-1.pdf> |
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P.73-75に記述のリスク低減対策において、遮水層を形成するシートなどを用いる場合に沈下量の規定はあるか? |
法的な措置における遮水層の施工では、特に沈下量の規定はありません。また、「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」第一条の三において、「地盤の滑りを防止し、又は最終処分場に設けられる設備の沈下を防止する必要がある場合においては、適当な地滑り防止工又は沈下防止工が設けられていること」と規定されていますが、特に沈下量に関する規定はありません。よって、本マニュアルにおけるリスク低減対策に関わる遮水層の施工においても、特に沈下量に関わる規定は設けておりませんが、沈下が予想される場合は沈下防止工の対策を講じるようご留意ください。 |
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図6-3の原位置封じ込めの不透水層の透水係数が100nm/s(10-7m/s)で厚さ5m以上というのは非現実的ではないか? |
「土壌汚染対策法における調査及び措置に関するガイドライン」には、遮水構造として「厚さが5m以上であり、かつ、透水係数が1×10-7m/s以下である地層と同等以上の遮水効果を有する~」と規定されており、この規定に準拠した図としました。ただし、遮水層の透水性により確保すべき厚さは異なると判断されます。たとえば厚さ50cm以上、1×10-8m/s以下であれば同等と見なされるものと考えられます。 |
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図6-13(2)および図6-14(2)に示される例は土対法の措置に該当するか? |
土対法に規定される「不溶化埋め戻し」措置に該当すると判定しております。すなわち、不溶化により溶出量基準適合とした土壌を盛土構造物の中や地中構造物の埋戻しとして使用し、区域外への基準不適合土壌又は特定有害物質の飛散等を防止するため、覆土、舗装等、地表面からの飛散等の防止のための措置を施したものに該当します。 |
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図6-14に示される共同溝等の地中構造物への封じ込めの例について、地下鉄構造物に対しても同様の考え方が成り立つか? |
地中構造物への封じ込めの構造が土対法に定められた構造であれば、土対法の観点からは構造物の用途によって限定されるものではありません。ただし、適用に当たっては鉄道事業者に確認が必要と考えます。 |
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土対法対象外のリスク低減対策においては「地下水の水質の測定」に該当する期限なしのモニタリングを伴うと規定されているが、リスクが低い箇所ではたとえば2年で打ち切るなどとはできないか?土対法に則った措置の方が経済的になる可能性もあるのでは? |
土対法では「要措置区域」に指定された場合にのみ措置が必要とされ、「形質変更時要届出区域」に指定された場合には措置の必要はありませんが、リスクコミュニケーション等の段階で形質変更時要届出区域であっても念のため何らかの対策を講じておきたい、という場合に本マニュアルに例示したリスク低減対策が適用できます。もちろんこの場合に「地下水の水質の測定」や「遮水工封じ込め」等の法に基づいた措置を適用することも可能です。本マニュアルは、要措置区域外においても、現地条件やリスクコミュニケーション等による検討結果、および対策の経済性などから総合的に判断して、より幅広い選択肢の中から最適な対策法を導き出すためのものと位置づけております。 |