(一財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成23年

平成23年4月 報文抄録
 

【特集報文】 舗装マネジメントの体系〜より効率的・計画的な舗装管理に向けて〜

  渡邉一弘・久保和幸

<抄録> 舗装マネジメントを実践するにあたり、その目的を時代に即して再整理し、「透明性のある舗装管理の実現」と「最効率的な舗装管理の実現」と提示するとともに、舗装マネジメントのフローを概説し、より効率的・効果的な維持管理に向けて留意すべき事項を示した。

<キーワード> 舗装、マネジメント、体系、効率的、計画的

 

【特集報文】 路面凹凸がユーザーの乗り心地評価に及ぼす影響

 

石田 樹

<抄録> 本研究の目的は、路面の乗り心地評価のための定量的かつ客観的指標の開発である。ドライビングシミュレータを用いて乗り心地の主観評価を行うとともに、平坦路および凹凸路において、ストレスの定量的・客観的評価に有効とされる心拍数変化を計測した。平坦路に比べ凹凸路面走行時の被験者の心拍数は有意に増加した。上下加速度が増加するに従い心拍数の増加量は増加し、心拍数増加量が大きいほど主観による乗り心地評価は悪化する傾向が見られた。被験者ごとの回帰分析により、心拍数増加量により主観評価を説明するモデルを提案すると共に、被験者の振動刺激への感受性を考慮することが重要であることを示した。

<キーワード> 乗り心地、ラフネス、心拍数、IRI、ドライビングシミュレータ

 

 

【特集報文】 アスファルト・コンクリート塊の持続的なリサイクル

 

新田弘之・佐々木 巌・西崎 到・川上篤史・久保和幸

<抄録> アスファルト・コンクリート塊のリサイクルは進んでおり、その再資源化率は98%と非常に高い。しかし、高い再資源化率を今後も維持していくためには、新たな課題も発生している。本報では、舗装のリサイクルについて、現状と新たな課題、その対応状況、今後の展開などについて報告する。

<キーワード> アスファルト舗装、アスファルト・コンクリート塊、再生骨材、リサイクル、圧裂試験

 

 

【特集報文】 山岳トンネルの地震による変状発生メカニズム

  日下 敦・真下英人・砂金伸治・角湯克典

<抄録> 地震時における山岳トンネルの変状発生メカニズムについて、簡易な静的線形FEM解析を用いて検討を行った。その結果、代表的な覆工の被害モードと地山の地震時の変形モードの関係が明らかになった。また、背面空洞が地震時の覆工の応力に及ぼす影響が明らかになった。

<キーワード> 山岳トンネル、地震被害、数値解析、背面空洞

 

 

【特集報文】 トンネルの変状原因の推定方法

 

砂金伸治・真下英人・角湯克典

<抄録> トンネルに現れる変状の多くは、覆工コンクリートにおけるひび割れ、うき・はく離、はく落の発生であり、変状に対して対策を検討する場合は変状の状態からその原因を推定する必要がある。本報では、対象とする変状が外力の作用によって生じる場合と材料や施工に起因して生じる場合の両者の観点から、その発生原因を推定する手法に関して考察した結果を述べる。

<キーワード> トンネル、維持管理、点検、変状、ひび割れ

 

 

【現地レポート】 新仲哀トンネルの変状調査

  谷川征嗣・鍬 淳司・安田 亨・田近宏則

<抄録> 山岳トンネルの維持管理コスト縮減と長寿命化を両立させるためには、変状原因に応じた適切な対策工を適切な段階で実施することが重要である。本稿では、変状原因の究明やそのための調査および補修補強対策工の検討概要について報告する。

<キーワード> 山岳トンネル、変状原因、変状調査、補修補強、維持管理

 

 

【報文】 地表の変位からすべり線形状を推定する手法と適用事例

  石田孝司・藤澤和範・藤平 大・浅井健一・M.Constantin

<抄録> 地すべりの初期段階においては、速やかにすべり線形状や規模を把握し、効果的な応急緊急対策を行うことが、被害の拡大を防ぐ上で重要である。そこで、応急緊急対応時などに調査ボーリング等によらず、地表の変位ベクトルから地すべりのすべり線形状を推定する手法とその計算プログラムを作成した。いくつかの地すべりへの適用結果を通して、本手法の適用性を紹介する。

<キーワード> 地すべり、応急緊急対策、すべり線形状推定

 

 

【報文】 遺伝情報に基づいたニッコウイワナの交雑履歴の推定と移植

  村岡敬子・三輪準二・高橋政則

<抄録> ニッコウイワナが生息するといわれる2つの沢および放流履歴のある本川において採取したイワナのヒレを用いて、遺伝情報の解析を行った。遺伝情報データベースとの比較および滝や砂防堰堤で区切られた地点に生息するイワナ集団の遺伝構造から、各地点における交雑履歴の有無を検出し、移殖範囲の選定を行った。

<キーワード> 遺伝的かく乱、遺伝構造、移入個体、保全、砂防堰堤

 

 

【報文】 砂袋で海岸をまもる〜袋詰め工の実用化に向けた現地実験〜

 

渡邊国広・諏訪義雄・野口賢二・関口陽高

<抄録> 新たな海岸保全技術の開発として、袋詰め工による施設の試験施工を西湘海岸で実施した。試験施工に先立って波浪に対して安定な形状を模索するために水理模型実験を実施した。また、使用する素材が現地の砂礫による摩耗に試験期間終了まで耐えられることを確認するために、現地における摩耗量調査と室内における摩耗促進試験を実施した。

<キーワード> 海岸保全、袋詰め工、西湘海岸、水理模型実験、摩耗量

 

 

【土研センター】 有明海沿岸道路建設における軟弱地盤対策の取り組み〜
その3:変形抑制型の軟弱地盤対策〜

   敏信・駒延勝広・了戒公利

<抄録> 変形抑制型の軟弱地盤対策である「浅層混合処理+低改良率深層混合処理」について、盛土及びカルバートへの適用事例や、盛土と横断構造物との取り付け部の段差緩和対策への適用事例の報告を行った。「補強盛土+浅層混合処理」や「浅層混合処理+低改良率深層混合処理」の採用により、当初設計と比べて約7割のコスト縮減を行うことができた。

<キーワード> 有明海沿岸道路、軟弱地盤対策、変形抑制型、浅層混合処理、低改良率深層混合処理、非着底