(一財)土木研究センター/刊行物/月刊誌土木技術資料抄録/平成27年9月

 
平成27年9月 報文抄録
 

【一般報文】 効果的交通安全対策のための要因分析・対策立案手法
〜「交通事故の要因分析・対策立案に関する技術資料」〜

尾崎悠太・高宮 進

<抄録> 近年、日本での交通事故の死者数及び死傷事故件数は減少傾向にあるものの、現在も多くの方が交通事故の犠牲となっている。このような状況から、交通事故の削減に向け継続的な対策実施が必要である。国土技術政策総合研究所では交通安全対策をより効果的に実施するための技術資料を作成した。本稿では、その技術資料について紹介する。

<キーワード> 交通安全対策、交通事故要因分析、対策立案

【一般報文】 塩化ビニル管の健全率予測式の作成に向けた影響因子の分析

竹内大輔・賀屋拓郎・深谷 渉・宮本豊尚・横田敏宏

<抄録> 今後、改築需要が増加する塩化ビニル管に対して、正確に塩化ビニル管の劣化状況を把握するための劣化状況の視覚判定基準(案)、緊急度診断基準(案)および、改築需要を予測するために健全率予測式の作成を行っている。本検討は、塩化ビニル管の健全率予測式を作成するために必要な影響因子の分析を行うものである。

<キーワード> 塩化ビニル管、健全率予測式、緊急度、劣化項目、影響因子

【一般報文】 湿雪雪崩の発生と積雪内部の水の浸透との関係

松下拓樹・池田慎二・石田孝司

<抄録> 湿雪雪崩は、降雨や融雪水の積雪への浸透など複雑な過程を経て発生する。この報文では、湿雪雪崩の発生と積雪内部の水の浸透状況との関係について、雪崩発生箇所近傍の気象観測データを用いた解析と積雪内の水の浸透に関する現地実験の結果を基に報告する。

<キーワード> 湿雪、表層雪崩、全層雪崩、水の浸透、斜面積雪

【一般報文】 Twitter情報を活用した土砂災害の前兆・発生状況把握の可能性

國友 優・神山嬢子

<抄録> 土砂災害に対する避難の判断指標とされる前兆現象等に関する情報を収集・共有し、警戒・避難システムとして活用するため、近年の豪雨災害時につぶやかれた情報の分析を行い、Twitter情報を活用した土砂災害発生場の状況把握の可能性について検討を行った。土砂災害に関連するキーワードより抽出したツイートの件数の変化や発言内容から危険性の検知や災害状況の把握が可能であることを確認した。

<キーワード> 土砂災害、前兆現象、ソーシャルメディア、つぶやき情報、Twitter

【一般報文】 現場条件を考慮した災害復旧に関する動的遠心力載荷模型実験
〜大型土のうと補強材を用いた本復旧盛土の適用性〜

森 芳徳・久保哲也・宮武裕昭

<抄録> 近年、豪雨や地震による道路盛土等の道路土工構造物の災害が大規模化している。災害現場における復旧方法として、大型土のうを用いた応急復旧が用いられていることが確認されている。本報告では、大型土のうを用いた本復旧対策手法の適用性について、実現場の施工条件等を考慮した動的遠心力載荷模型実験を実施した結果について報告する。

<キーワード> 道路盛土、災害復旧、大型土のう、本復旧、動的遠心力載荷模型実験

【一般報文】 補強土壁の予防保全に向けたフォルトツリーの活用について

宮武裕昭・藤田智弘

<抄録> 本報では、支障時の道路交通機能への影響等を鑑みて、アプローチ部の補強土壁に対して早期に予防保全へと移行することを目的に、予防保全に向けた取り組み、フォルトツリーの活用、補強材破断に関する実大模型実験について報告した。

<キーワード> 補強土壁、維持管理、劣化シナリオ、補強材破断

【一般報文】 可搬型高出力X線によるPC桁内部の可視化実験

大島義信・宇佐美 惣・石田雅博・土橋克宏・上坂 充

<抄録> 本研究グループでは、PC桁全体のグラウト未充填区間、鋼材減肉量、破断有無の把握を目的として、高出力X線源によるコンクリート橋検査技術の開発を行っている。ここでは、日本で初めて屋外で実施された高出力3.95MeVX線源を用いた撤去桁の可視化実験の結果を報告する。

<キーワード> 高出力X線源、撤去桁、可視化、グラウト未充填、非破壊

【現地レポート】 国内初の既設堤体を大規模切削して洪水吐を増設する長安口ダム改造事業

赤松 薫・森本修三・白川豪人・岡田武文・竹内伸一

<抄録> 長安口ダム改造事業は、治水・利水・環境面におけるダム機能向上を目的として平成19年度より着手しており、本報告では、ダム改造事業の特徴的な施工方法や現在の工事状況及び今後の予定について述べたものである。

<キーワード> 長安口ダム、ダム改造事業、国内初の工法(本体切削)、ダムを運用しながらの工事

【土研センター】 発展途上国での海岸管理上の問題 〜ジャワ島西端のAnyer海岸の例〜

宇多高明・守安邦弘

<抄録> IndonesiaのJava島西端部のAnyer周辺の海岸を対象として現地踏査を行い、急速に開発が進みつつある発展途上国における海岸保全について考察した。この付近では過剰な埋め立てが行われ、自然資源を十分活用できない状況にある。現地踏査を基に開発上の問題点を探り、今後同種の開発がなされる際考慮されるべき点について考察した。

<キーワード> 海岸保全、Indonisia、Anyer、Java島