タイトル
 

アスファルト混合物の加圧透水試験に関する検討

1. 研究目的

 橋梁部の基層またはレベリング層には防水性能を向上させたアスファルト混合物が使用され、水密性を持つアスファルト混合物が使用されている。
 アスファルト混合物の防水性能を評価するための試験として、舗装調査・試験法便覧の「B017T:アスファルト混合物の加圧透水試験方法」を適用することが多いが、B017T法は、平成19年の発刊当時、暫定的な方法として記載されたものであり、加圧力や側圧力、および測定時間などの試験条件については規定されていない。
 そこで、本WGでは、アスファルト混合物の透水係数を求めるための適切な試験方法を提案することを目的に活動を行う。

2. WGの活動内容と成果

 試験法に関する問題点や不明な点を抽出・整理し、課題として分類した上で、課題解決のために共通試験を3回に分けて実施した。

(1)第1回共通試験

 作製した同一のマーシャル供試体を各社の試験装置で加圧透水試験を行い、バラツキを把握した。また、ゴムスリーブ式(写真−1)とシーリング式で加圧透水試験を行い、透水係数の比較を行った。
 空隙率が3%以下のマーシャル供試体において、ゴムスリーブ式およびシーリング式で加圧透水試験を行った結果、シーリング式では“透水なし”とい結果に対し、ゴムスリーブ式では透水するものもあり、供試体側面からの漏水が懸念された。

写真−1 加圧透水試験状況(ゴムスリーブ式)

(2)第2回共通試験

  マーシャル供試体およびWT供試体から切り出した供試体(ホイール切取供試体)を用いて、加圧力と側圧力と試験時間の違いが透水係数に与える影響について確認試験を行った。この結果から、ゴムスリーブ式の具体的な試験条件の設定について検討した。
マーシャル供試体は、側圧力を高めることで側面からの漏水を低減できるが、空隙率が3%以下の供試体において、側圧を高くしても透水するものが確認された。それに対し、切取供試体の場合は、空隙率が3%以下の供試体は“透水なし”という結果となり、マーシャル供試体側面は凹凸が水みちとなり漏水していると考えられた。
マーシャル供試体の側面の凹凸を樹脂コーティングし加圧透水試験を実施すると、空隙率が3%以下の供試体は“透水なし”という結果となり、樹脂コーティングにより漏水を抑制できると考えられた。

 2回共通試験から、使用する供試体は樹脂コーティングされたマーシャル供試体かホイール切取供試体とし、試験条件は、加圧用ゲージを150kPaに設定し、側圧200kPaで24時間予備加圧後、側圧250 kPaで10分間の透水量を測定する条件で設定した。

(3)第3回共通試験

 設定した試験条件により、供試体厚さや現場切取供試体の透水係数の関係について確認を行った。
ホイール切取供試体の厚さを薄くし、設定した条件で加圧透水試験を実施した場合でも、空隙率が3%以下の供試体は“透水なし”という結果となり、供試体厚さが透水係数に与える影響は少ない。
現場切取供試体において、空隙率が3%未満では“透水なし”という結果であった。室内試験で設定した側圧250kPaで供試体側面からの漏水がないため、試験条件は室内試験と同様で問題ないと考えられる。

3. まとめ

 本WG活動より得られた結果をまとめる。
(1)供試体
 本試験用の供試体として、マーシャル安定度試験用供試体あるいはホイールトラッキング試験用供試体から切り出した供試体、現地より採取した直径10cm程度の切取供試体を使用する。
 マーシャル安定度試験用供試体は、供試体側面からの漏水が懸念される場合、供試体側面を樹脂でコーティングし、側面を平滑にした供試体を使用する。
(2)試験条件
 予備加圧は加圧用ゲージを150kPaに設定し、供試体内の飽和状態の確保と供試体のゴムスリーブとの圧着状態の確保を目的に側圧用ゲージを200kPaで24時間継続する。24時間経過後、側圧用ゲージを250kPaとし、透水バルブから10分間で滴り落ちる水の量をメスシリンダで測定する。

4.加圧透水WGの成果の反映について

 今回、加圧透水WGで検討した結果について、舗装調査・試験法便覧(B017T)の解説欄にTPTの成果を参考として記述することとした。