タイトル
 

路面プロファイル解析ソフト"ProVAL"について

1. はじめに

 我が国においては、維持管理指数MCIを用いて舗装の供用性を評価している。一方で、道路利用者の立場で考えると、道路を利用する上で重視しなければならないのは道路利用者立場に立った「ユーザーサービス指標」である乗り心地である。世界各国では、舗装の供用性に乗り心地の指標として、国際ラフネス指数(以下、IRI)が採用される傾向にある。我が国でも、舗装調査・試験法便覧、NEXCO試験方法、総点検実施要領(案)【舗装編】などにおいて採用されている。

 IRIは、路面プロファイルから、算出される統計指標である。IRIの算出は一般にコンピュータ上で動作する解析ソフトが利用されており、プロファイラーの付随ソフト、ウェブ上に公開されているフリーソフトなどがある。TPT第8回勉強会では、Transtec Group作成の路面プロファイル表示・分析用のフリーソフト"ProVAL"の日本語版ユーザーガイドを作成するとともに、実際の路面調査結果を用いた検討を行った。

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ProVAL 3.5 のトップページ(2015年3月現在)

 

2. 検討概要

(1)ProVAL 3.5 日本語版ユーザーガイドの概要

>> ProVAL 3.5 日本語版ユーザーガイド
Chapter 1 はじめに
 ProVAL 3.5では、様々な拡張子のプロファイルデータを取り込み、編集、解析をすることができる。
Chapter 2 インストール
 ProVAL 3.5のインストール手順が記載されている。
 なお、最新のバージョンはこちらから入手できる。(ProVAL 3.5 日本語版ユーザーガイドも掲載)
Chapter 3 始めよう
 プロファイルデータのインポート方法をはじめとする基本操作について記載されている。
 ただし、インポート可能とされる拡張子であっても制限があり、第8回勉強会ワーキングとしてはerdファイルを推奨する。erdファイルの作成方法としては、ProVALのサンプルファイルとして入手できるerdファイルに上書きする方法などがある。
Chapter 4 ビューア
 取り込んだプロファイルをグラフとして表示する方法の他、エディタ機能で編集したプロファイルについて、①イベント(点の情報)の表示、②セクション(区間分け)毎の表示、③地図への表示などの方法について記載されている。
Chapter 5 エディタ
 取り込んだプロファイルを編集する方法が記載されている。①地図情報、②イベント、③セクション、④その他情報を設定することができる他、⑤フィルタ処理(移動平均等)を行うことができる。
Chapter 6 解析
 ProVAL 3.5に用意されている10種類の解析ツールについて記載されている。
Chapter 7 関連情報
 関連のウェブサイトおよび参考文献が記載されている。

(2)ProVALを用いた検討

概要

 一般国道408号で路面性状調査を行い、得られたプロファイルを用いてProVALによる解析を行った。表-1に使用したプロファイラ、図-1に調査箇所の平面図を示す。

表-1 使用したプロファイラ
クラス プロファイラ 間隔 アスファルト舗装 コンクリート舗装
OWP IWP OWP IWP
水準測量 250mm - -
DipStick 250mm - -
MRP 10mm
TS 250mm - -
 

図-1 調査現場の平面図(赤枠内が調査箇所)

 
結果
  • Co舗装の工区に対し自動段差測定(AFM)を実施したが、施工直後のRCCPであったためほとんど段差はなく、検証に至らなかった。
  • 水準測量を基準プロファイルとし、MRPの繰り返し測定で得られた10個のプロファイルを用いてプロファイラー証明モジュール(PCM)を実施したところ、水準測量とのズレが80%程度、MRPの再現性が95%程度であるという結果が得られた。
  • 測定で得られたすべてのプロファイルについて区間のIRIを算出し、ProVALで算出したIRIはRoadRufで算出したIRIと一致することを確認した。
  • 水準測量に対してDipStick、TS、MRPのIRIを比較したところ、DipStick、TS、MRPの順で水準測量のIRIからのズレが大きかった。

3. まとめ

 ProVAL 3.5は、クラス1および2の路面プロファイルからIRIを求めるための分析ソフトとして利用可能であることが分かった。フリーソフトとしてはバージョンアップも頻繁であり、汎用性の観点から有用であると考える。また、自動段差測定、プロファイルの検定、補修箇所の選定等の機能もあり、今後の検証次第ではさらなる活用も期待される。

※詳細は、『TPTレポート No.14』に記載。