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アスファルト及び混合物の劣化・疲労に関する検討

1. 研究目的

 アスファルト混合物やアスファルトに関する劣化や疲労の研究は、様々な研究機関で多岐に亘り検討されている。その内容は、特殊な試験装置や試験方法を必要とするものが多く、一般的な実験設備では試験を行うことが困難となる場合もある。また、アスファルト混合物の疲労抵抗性を評価する試験は、曲げ疲労試験が広く認知されているものの、実施可能な機関は限られており試験条件によっては多大な労力や時間を要することもある。

 そこで、本WGでは室内試験で比較的汎用性の高い試験装置によるアスファルト混合物の劣化方法を検討し、室内劣化混合物と実路等から採取した供試体による混合物およびアスファルトの各種の性状試験を行い、室内劣化法の妥当性を確認した。混合物の疲労の評価は、試験が簡便な圧裂試験を取り上げ、曲げ疲労試験との相関を確認し代替えの可否について検討した。

 

2. 研究活動内容

 本WGでは、既往の文献を参考に室内劣化方法を検討するとともに、室内劣化させた混合物と暴露および実路等の現場切取り供試体との混合物性状や回収アスファルトの関係性を確認した。

   

2.1 混合物性状の性状確認

 混合物性状に関する試験結果の一例を図-1および図-2に示す。圧裂試験結果は、室内劣化させたものと暴露や実路等から採取したものと相関の高い結果が得られた。一方、暴露供試体による曲げ疲労試験は、暴露期間が短く針入度の低下が少なかったため、約2年の暴露期間では初期値と顕著な差異は認められず、代替えの可否の検討にまでは至らなかった。


図-1 圧裂試験結果             図-2 曲げ疲労試験結果

2.2 回収アスファルトの性状確認

 アスファルトの性状試験結果の一例を図-3および図-4に示す。組成分析(芳香族分)は、およそ針入度が30未満となると、実路から採取した回収アスファルトの方が室内劣化させたものよりも顕著な劣化が認められた。DSR試験による動的粘弾性状は、室内劣化させたものと暴露および実路から採取したものと概ね同様な傾向が認められた。


図-3 組成分析結果               図-4 DSR試験結果

3. 結論

 本WGで対象とした室内劣化法は、アスファルトの組成の詳細までは再現できていないものの、圧裂試験による混合物の物理性状や、DSR試験によるアスファルトの物理性状については、実際の劣化に近い現象を再現できたものと考える。