タイトル
 

最大粒径10mmのアスファルト混合物の特性について

1. はじめに

 排水性舗装の普及にともない、機能向上を目的として6号砕石を10mmふるいでふるい分け、最大粒径10mmに調整して使用するケースが増えてきていることから、最大粒径13mmと10mmとの密粒度アスファルト混合物の混合物性状の違いを検証するため、6社共同で検討を行った。

2. 検討方法

1) マーシャル法による配合設計結果の比較

  • マーシャル試験の基準値を満足するアスファルト量の共通範囲
  • 最適アスファルト量
  • 空隙率
  • マーシャル安定度

2) ホイールトラッキング試験結果の比較

  • 動的安定度(DS値)

3. 結果

マーシャル法による配合設計結果の比較

1) アスファルト量の共通範囲

 参加6社のうち4社で密粒10mmの共通範囲が広くなる傾向にあり、最適アスファルト量からアスファルト量が多少ずれても求められるマーシャル性状を満足することができる品質を安定させやすいアスファルト混合物であると言える。(図−1)

アスファルト量の共通範囲の幅
図−1 アスファルト量の共通範囲の幅

2) 最適アスファルト量

 1社を除いて最適アスファルト量は増える傾向にある。これは、密粒10の粗骨材配合率は密粒13と同じとしたのに対し、使用している粗骨材の粒径が小粒径化したために相対的に単位質量あたりの粗骨材の表面積が増大したためと考えられる。(図−2)

最適アスファルト量
図−2 最適アスファルト量

3) 空隙率

 空隙率は若干密粒10mmの方がわずかながら大きくなった。これは密粒10mmの方の粗骨材表面積が大きくなっているのに対して、細骨材の配合率を両混合物間で変えていないため、密粒10mmでは細骨材が粗骨材表面積に対して相対的に不足することによると考えられる。(図−3)

空隙率
図−3 空隙率

4) マーシャル安定度

 密粒13と密粒10の間に明確な差はみられず、密粒10の混合物強度は密粒13と同程度であると考えられる。(図−4)

 各社で作製した3個のマーシャル供試体のマーシャル安定度の変動係数は密粒10の方か小さくなる傾向にあることが分かる。これは、6号砕石(10mm)の方が粒度分布などの性状が安定しているためと考えられる。(図−5)

マーシャル安定度
図−4 マーシャル安定度
マーシャル安定度の変動係数
図−5 マーシャル安定度の変動係数

ホイールトラッキング試験結果の比較

1) 動的安定度

 密粒10の動的安定度は密粒13とほぼ同程度と言える。(図−6)

 動的安定度の変動係数については4社で非常に小さくなっている一方、2社では逆に大きくなる傾向にあり、平均すれば小さくなる傾向にあるとも言えるが、マーシャル安定度ほどの明確な傾向は見られなかった。(図−7)

 その他の混合物性状として水浸マーシャル試験も実施したが、残留安定度について特に明確な傾向は見られなかった。

動的安定度
図−6 動的安定度
動的安定度の変動係数
図−7 動的安定度の変動係数
 

4. まとめ

 密粒度アスファルト混合物においては、その最大粒径が13mmと10mmでは、混合物性状に違いは見受けられない結果となった。