タイトル
 

自動車用タイヤと舗装

1. はじめに

 自動車用タイヤと舗装は、密接な関係があり、舗装は時代の流れとともに進化している。また、それと同時に、自動車用タイヤの技術も時代のニーズに合わせて進化している。本勉強会ではタイヤ側の技術に視点を置き、自動車用タイヤの知識を学習し、舗装との関連性について検討を行った。

 

2. 検討概要

(1)タイヤの概要、規格、種類

 タイヤ産業の変遷を舗装業界の動向と合わせて調査を行った。1990年代後半から2008年にかけて国内需要と輸出の増加し、2011年にゴム量118万トン、タイヤ約1億6千万本と国内80%以上のゴム産業となっている。タイヤの規格は、JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)でYEAR BOOKが発刊され、一般にこの規格が用いられている。自動車タイヤには、二輪車、乗用車、トラック・バスなど用途によって分類され、タイヤの特徴について説明を行った。

(2)タイヤの構成材料、設計

 タイヤは、主にゴム材料、スチールコード、そして有機繊維補強材料から構成される高度な複合体である。その中でタイヤの80%以上を占めるゴム材料には主としてゴム、充填剤、加硫剤、そして老化防止剤が用いられ、それぞれのタイヤに求められる要求性能により、これらの配合割合を変えて最適に設計されている。ここでは、タイヤの構成材料と設計方法について説明を行った。

(3)タイヤの特性 操縦安定性

 自動車は、運転者のハンドル操作で直進したり、旋回したりして走行することができる。走行時の自動車の運動は、すべてタイヤ/路面間に働く力とモーメントが基本となる。このうち、車が旋回中にタイヤが横すべり状態で転動しているときにタイヤが発生する力やモーメント特性のことを、タイヤのコーナリング特性という。ここでは、コーナリング特性に着目し、安定性についての説明を行った。

(4)タイヤの特性 振動特性、道路騒音

 一般的な自動車の騒音現象は、自動車室内において乗員に直接影響する乗り心地領域と振動が音になって影響する車内騒音がある。さらに車内騒音には、タイヤから直接放射される直接音とタイヤ自体が加振源となる間接音に区別することができる。ここでは、タイヤ道路騒音の測定方法やタイヤから発生する騒音のメカニズムについての説明を行った。

(5)タイヤの特性 摩耗・摩擦特性

 タイヤの摩耗および偏摩耗現象は、トレッドゴムの耐摩耗性だけでなく、タイヤの形状・構造・パターンの影響を強く受ける。タイヤ摩耗の要因は、走行距離、トレッドゴムの材質やベルトの剛性が重要であり、タイヤの空気圧の低下に伴い、摩耗寿命が低下する。偏摩耗とは部分的に異常に摩耗する現象で、タイヤ寿命を短期化やタイヤ性能の悪化させる可能性がある。
 タイヤの摩擦は、「自動車を直進、旋回、駆動、制動」の基本機能を作用させるための重要な役割となっており、その特性を把握し、改善するとことが重要である。
   
 ここでは、偏摩耗の種類や一般的な解析法について、摩擦の特性について説明を行った。また、摩耗・摩擦の確認試験方法には、実路を用いた走行試験や摩耗ドラムを使用した室内試験等があり、試験方法について紹介した。

(6)タイヤの現状と将来

 現在、時代のニーズによって、タイヤは様々な付加機能が取り付けられ、各タイヤメーカーは開発を進めている。本勉強会では、パンクしても走行することが出来るランフラットタイヤ、複輪タイヤをシングル化できる超扁平シングルタイヤ、タイヤにセンサーを設置するITタイヤ(インテリジェントタイヤ)について紹介した。
 タイヤの将来として、環境に対する取組みを強化しており、タイヤ産業では、環境対策を推進している。環境に関する技術革新として、リデュース係数の導入、タイヤのリサイクル、タイヤの転がり抵抗低減について紹介した。
 タイヤの転がり抵抗は、自動車の低燃費化に伴い、自動車燃費の約10%の寄与しており、重要な要素であり、転がり抵抗の要因について説明を行った。

3. まとめ

 今回、タイヤ側の技術に視点を置き、タイヤの知識を学習してきた。その結果、タイヤの構成材料、配合方法、特性について確認することができた。タイヤ特性は、振動特性と道路騒音、摩擦特性とすべり抵抗というように非常に関連性が強いと考えられる。タイヤ産業は環境の意識が高まってきており、舗装分野においても低燃費を考慮した設計が研究されている。今後、舗装分野でも、転がり抵抗低減の観点から、平たん性や路面のテクスチャの改善により、低燃費に配慮した路面設計というものが実用化される可能性があると考えられる。

※詳細は、『TPTレポート No.13』に記載。