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透水性試験法に関する検討

1. はじめに

写真-1 現場透水量試験機

 現在、開粒度アスファルト混合物やポーラスアスファルト混合物の透水性能を評価する試験方法としては、以下の2つが挙げられる。

  1. 現場透水量試験方法    
  2. 定水位透水試験方法

 現場透水量試験については、平成18年1月に発刊された『舗装性能評価法 −必須および主要な性能指標の評価法編−』に示される浸透水量の評価に用いられている。しかし、現在使用されている現場透水量試験器の適用条件が明確に示されていないほか、試験器差が十分に把握されていない、止水方法が統一されていない等の課題がある。

 そこで本WGでは「現場透水量試験」について、試験方法の確立を目的に活動を行った。

 

2. 試験器寸法の明確化(H19〜21)

 TPT参加各社が所有する現場透水量試験器に関するアンケートの調査結果から、舗装調査・試験法便覧の現場透水量試験器(例)に示される値と比較して、以下の示す位置に違いがあることが確認できた。

図-1 試験機の寸法

  1) 試験開始時の水頭 (測定箇所C)
  2) 水の出口〜底板面まで (測定箇所D)
  3) 底板の円錐部分の底面直径 (測定箇所E)

 このほか、試験法に明記されていない内径8o部分(測定箇所I)についても差があることが確認できた。
 また、使用するバルブ(写真-2)についても種類や内径などが異なることが分かった。

写真-2 各種バルブ

 これら各寸法の影響について調査し、WGとして新たな試験器規格を提案した。

3. 試験器以外で測定に影響を及ぼす要因の調査(H19〜22)

@止水材の影響

 各社へのアンケート調査結果から、使用する止水材についてパテ・粘土またはシリコン・ゴムのマットの大きく2種類が使用されていることが判明した。このため、使用する止水材の違いにより測定される浸透水量に及ぼす影響を調査した。

写真-3 パテによる止水

A繰返し測定の影響

 同一箇所において繰り返し浸透水量を測定する場合の内部に残留する水の影響を確認するため,空隙率15%の供試体を使用し,供試体下部に板を置いた状態で試験を実施した。

 試験結果を図-2に示す。試験の間隔を1分とし,繰り返し測定を行った結果,測定回数の増加にともない,浸透水量が減少した。

図-2 同一箇所における測定回数と浸透水量の関係

B水温の影響

 図-3は、アクリル製の板に等間隔に44の穴を空けた模擬舗装を使用し、一定間隔で穴を塞ぐことにより浸透水量を変化させた時の、それぞれの浸透水量における水の温度との関係を示したものである。試験を行った5〜35℃の範囲では,水温の変化に伴う浸透水量の変化は見られない。したがって今回確認した温度範囲では浸透水量の測定に水温の影響を考慮する必要はないと考えられる。

図-3 水温の影響

4. 現場透水量試験器の測定精度の算定(H22)

 人的誤差の推定結果から、測定秒数が400ml流下量で4〜9秒程度では測定者の違いによるばらつきが0.05程度、14秒程度では0.09で0.1に近い値であった。これらのことから400ml流下量の測定精度はこれらの測定秒数の範囲内で有効数字二桁程度と考えて差し支えないと考えられた。

5. 試験方法の提案

 以上の検討結果を踏まえ、本WGの最終目的であった現場透水量試験方法の提案を行った。